ルーネベリ夫人とのご近所づきあいに思いをはせる、ミニ・ルーネベリ・トルットゥ

2015年2月7日



さっさと白状してしまうのだけど、私はあんまり甘いものが好きではない。

キライではないのだけれど、自分から積極的に買ってまで色々食べたいとは思わない。

食べたとしてもひと口で十分で、ふたくち目からしてすでに食べつづけるか迷いが生じ、見ているヒトがだれも周りにいない場など、すきあらば食べかけをそっと袋や皿にもどす(次に気が向いて食べる気になるまでしまっておく)。

公共の面前だったりしてその手を使えないときは、食べさしを引き継いでくれる人をさりげなくかつ素早く見極め、すきあらばバトンタッチする。

運悪く周りにそういう人が見つからなかった場合は、白目を隠しながらうぐうぐと飲み込むようにして食べている。

周りの人にこの話をすると、

「え!でもいつも美味しそうにたべてるじゃん!おかわりとかだってしてるときあるじゃん!」

と言われるんだけど、それは私の外向的性格ゆえの外面(そとづら)なのだ。


ワタシの目の前にある、甘いもの。
私は買って作ってもないのに、ココに鎮座しているということは、それすなわち

『いただきもの』

ということなのだ。



食べ物を頂戴したことへの感謝を『食べること以外でどう表現していいかわからない私』は、

…いや、ちがうな、正確に言うと、

『食べずにその場を穏和に乗り切る方法を知らない私』は、

もう、必死になって食べるわけですよ、いただきものを!

目の前に贈り主がいない場合でも、「いただいたものを粗末にしてはならない」という一心で、もう、千里の道も一歩から!チョコ1㎏の道もひと口から!の精神で地道に自分を励ましつつ進んでいくわけですよ!

手作りのお菓子だとかを出されたときなんかは、さらに通常の50倍くらい

「ありがたや。もったいなや。なんとかして感謝の気持ちを表現せねば」

の精神が爆発するもんで、とにかくバクバク食べる。大皿にのったケーキなんか、できることならおかわりもする。


それでも皿にケーキがだいぶ残ってたら、

「みんなが喜ぶだろうと思って相当気合いれて作られたにちがいないのに、こんなに余されちゃって… あああー、作ってくれた方、がっかりしないでー!あんたのケーキ、すごいよ!おいしいよ!ナイスだよ!あんたサイコ―だよ!他の人が食べないなら、私が食べるよ!!」

と、こういうカト論理が展開され、結果、ケーキを何皿もおかわりしているという。。

このカト論理は、よそのうちでご飯やお茶をごちそうになるときたいていいかんなく発揮されるため、既述のような「あんたは甘いものが好きなんだと思っていた」という誤解が広く昔から広がっているのだった。


また、女子同志でお茶を飲みに行くとき、

「ケーキみんな違うの頼んで、ひと口づつシェアしよ♥」

とかいう状況などに陥ることがあるんだけれど、そういうときも甘いもの云々の前にみんなのその分ちあい精神にえらく賛同してしまい、流れにのってケーキ3種盛りとか頼んでしまう。
そして人目をしのんで白目をむいているという。。

これは「私はコーヒーだけでいいや」と言い出す勇気がないというより、みんなで楽しそうにきゃっきゃしている輪に私もまざりたい一心からなのだけど、今これ書いてて「どんだけ人の輪にまざりたいんだワタシよ!」と、なんかうらさびしい三十路半ばの現実を見てしまった気がしてきたので、この話はここらでやめます。




で、そんなワタシなのだけれど、甘いものへの免疫力(人様のお家で極甘ケーキを出されてもスマートに立ち振る舞えるくらいの免疫力)をつけるため、機会があればなるべくケーキなどを食べるように努力している。

うちのダンナも最近はそこらへんを覚えてくれていて、何かの祝日や記念日に出回るお菓子やケーキなどは、そういう「免疫向上ツール」として買ってきてくれたりする。

で、それが今日はルーネベリ・トルットゥだった。





これはフィンランドの国歌の作詞をなさったルーネベリさん(Johan Ludvig Runeberg)の好物にちなんで、彼の誕生日である2月5日あたりにフィンランドのあちこちに出回るタルトというか、ケーキ。

基本はアーモンドやオレンジピール、コニャックなどの入ったずっしり甘いスパイスケーキで、てっぺんにはアイシングで作った丸い土手にかこまれたラズベリージャムがスタンバイしている。

お店のケーキ・パンコーナーで売っているものや、カフェなどで出てくるものなど、なんだかんだ6種類くらい食べたことがあるのだけど、程度の差こそあれ、甘さMAXであることに違いはない。

ひとくちで、1年分のルーネベリ・トルットゥを食べた気になる。

ふたくち目は来年でいいや、みたいな。

なので今年も店でいくらこのケーキの大量陳列を目にしても、あ、今年もきちゃったんだルーネベリさん。。と、冷たい視線を送っていた。


なのだけど、ルーネベリさんの誕生日である昨日をすぎて今日になってから、ふと思い出したダンナが買ってきてくれた。なんでも、割引になっていたのでおもわず買っちゃったのだそう。割引パワー、無限。





それにしても、

ちいさい!

ふつうのサイズの半分以下、もしかしたら4分の1サイズかもしれない。

その名も、「ミニ・ルーネベリ・トルットゥ」

あったんだ!こういうの!





いつも

「ああー、なんで一切れがこんなに大きいんだろ。ひと口食べれば満足だから、ひと口サイズのがあればそれ買うのにな」

と思っていたのだけど、そう思っていたの、ワタシだけじゃなかったんだ!




朗報だよ、同志のみなさま!

そしてワタシのように思う消費者の声を拾って商品化してくれたバーサンありがとうございます。
(あ、バーサンは婆さんのことじゃなく、Vaasanという会社名です)




このケーキのネタ元であるルーネベリさんなのだけれど、彼は生まれが1804年、亡くなったのが1877年ということだから、日本でいう江戸時代末期のころに生きた人だ。

たとえばバリバリ働かれていたであろう50代のころは、ちょうどペリーさんが日本に黒船でいらっしゃって、日本中がハラハラドキドキしつつ外国ってものを意識し始めたころだ。

一方、そのころのフィンランドは、ロシア帝国の支配下にあった。
ルーネベリさんが生まれてものごころつくかつかないくらいのころから、フィンランドはスウェーデンの支配からロシア帝国の支配になっていたのだった。

当時のロシア皇帝がけっこうふとっぱらで内政はフィンランド人たちに自らの手にあったため、ロシア支配下といいつつもけっこう自由にのびのびとしており、しかもそのおかげが経済的にも安定していたよい時代だったそうだ。(と本に書いてあった)

けれどやはり、文化も宗教もだいぶん違うロシアという国に支配されているという違和感は、人々のココロに相当ひっかかっていたのだろうと思う。

早い話、日本でエライ人らから下町のおじちゃんまでが、巨大で黒くてなんかハイテクっぽいものを振りかざした外国のパワーに日本は飲み込まれてしまうじゃないか、日本人はいまどうするべきなのか、世界の中でどう立ち回っていけばいいのかとおびえたり不安に思っていた、

そのちょうど同じころ、

フィンランドのひとたちも、世界の中で自分らはどうあるべきなのかと、モンモンとしていたわけだ。

そんなわけで、この時代、フィンランドでは『フィンランドの文化やココロのよりどころ』を人々は追い求めていた。
その結晶のひとつが民族叙事詩『カレワラ』。
本として世にでたのが、ルーネベリさん31歳の年、1835年。

のちに国民的詩人として大成されたルーネベリさん、青春・壮年時代も、おそらく『フィンランド人とは』と熱っぽく語る人らがあふれる中でもまれてすごされたのだろう。

当時の詩人ってのは相当なインテリ名士だったのだと思うんだけれど、ルーネベリさんは、家でもおそらく上品なかんじなたたずまいで書斎にこもったりしながら詩なぞをしたためていたのかなと思う。

で、そんな夫ルーネベリさんのため、彼の奥さんが作ったというのが、このルーネベリ・トルットゥ。

奥さんの十八番ケーキだったらしいから、これでもてなされたお客さんも多かったことだろう。

「ルーネベリさんちといえば、あのケーキ」みたいな。

「フィンランドってのはー!」
「フィンランド人とはー!」
とか、熱っぽく語りまくる人びとのコーヒーのお供、それがこのケーキだったわけだ(たぶん)。

そう思うと感慨深い。



あ、でもその当時ルーネベリさんちのお隣とかに住んでたら、私、キツかったろうなとかも思う。

「あ、カトさん、お客さん用とおもって調子にのってたらケーキちょっと焼きすぎちゃって、おすそ分けなんですが…」

とかルーネベリ夫人に裏口のドア叩かれたりしたら、

「あっ、わっ、あああ、ありがとうございますー!全部いただきますー!ルーネベリさんちのケーキったらご近所の評判ですよー!」

とかくちばしりつつ、ホントに喜んでる証拠としてその場で2、3個必死にくちにほおりこみ、白目をさとられないように必死で飲み込んだりしたんだろうな。。


よかった、ミニサイズを選べる今の時代に生まれて。。







そんなわけで、カフェやスーパーなどこの時期はどこに行ってもこのケーキが並んでいますので、フィンランドにこの時期に旅行にいらっしゃったみなさん、ルーネベリさんに思いをはせながら、ぜひ一度味見してみてください。

あ、ちょっと重いかもコレと思われた方には、バーサンのミニサイズもありますので、そちらをどうぞ!


それでは、また!



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