まさか系YKI(フィンランド語検定試験)の顛末。

2015年1月30日


先週土曜日、YKI-testi(Yleiset kielitutkinnot =語学能力検定試験)フィンランド語のKeskitaso(中級)を受験した。

このテストはナンなのかご存じない方のために念のためご説明すると、これはフィンランド全国各地で年に何度か一斉に行われる、語学能力検定試験のこと。



受験できるのはフィンランド語だけではなく、英語、スウェーデン語、ドイツ語、スペイン語などもあり、いずれの言語でも、『読み・書き・リスニング・会話』の4つの面からその人の語学能力を検定してくれる。

初級、中級、上級の3種類があり、自分のレベルにあったものを受験する。

まあ、すんごく大ざっぱにいうと、しゃべる試験のボリュームがけっこうあって長い作文課題もあって、やたらテスト所要時間の長い英検みたいなもの。

「どの級なら合格できるかな」とかハラハラしながら事前に申し込みをし、受験票をうけとって自分に割り振られた受験会場を把握し、当日会場で冷や汗しながら問題用紙にえんぴつなめなめ答えを書いて、リスニングのヘッドセットをつけたり外したりする。

フィンランド語中級は、わたしら外国人がフィンランドでフィンランド語によって行われている学校に進学したりするときや、フィンランド国籍の申請をするときに、語学能力の証明としてこのテストの結果を添付したりする必要がある場合があり、そういう必要にせまられた人々が受験する場合が多いのだそう。

私の場合は、今通っている移民向けのフィンランド語学校が受験をアレンジしてくれた。
といっても、クラス全員受験したわけではなく、希望者のうち先生が中級合格見込ありと認めてくれた人のみ。そんなわけで、うちのクラス全20人のうち、受験したのは9人だった。



で、どうだったかというと、

テストの出来・不出来以前に(あ、出来はもちろん、不出来ですよ)、

「YKIテストの現場って、こんなにワイルドだったんだ。。」

と、あぜんボーゼンがく然&驚愕したので、今日はそのお話でございます。。




私の試験会場は、オウル市内中心部にある高校だった。

外壁や内壁は新しいペンキが塗ってあるけれど、建物のつくりや天井や柱のすみっこについた模様のせいで、古い図書館のような空気がただよった不思議なところだった。

天井のとても高い建物で、裏口みたいな玄関から中に入ると、赤くてツヤツヤした廊下におかれた折り畳みテーブルの受付の前に、受験者のみなさんの列ができていた。

同じクラスのみんなも全員同じ会場だったようで、列の中に見知った顔を見てとりあえず安心した。


受付には黒いおかっぱヘアーに黒ぶちメガネ、ショッキング・ピンクの口紅がまぶしい三十路後半ぽい女史が腰かけ、受験票に書かれた内容を身分証明書を見ながら確認したり、ケータイ電話を回収したりしていた。

なんでも、去年のYKIテストの最中にケータイのカメラでテスト問題を写真にとってどっかに送った受験生がいたらしく、最近はテスト開始前に全員のすべての携帯電話をあずけるシステムになったのだそう。

「ぜんぶ出してね。携帯2個以上もってない?スマホじゃないのも全部ね」

とピンク女史。

私の差し出したノキアなスマホは、ピンク女史があらかじめ名前を書いて用意しておいてくれたビニール袋にぴっちりとおさめられ、スーパーのトマトみたいにぐるぐると封がされた。




この日この会場で受験したのは、全部で40人ほどだった。

さきほどのピンク女史が最初にテストの心得のようなお話をされたあと、そのまま私らは学校内の視聴覚教室に羊の群れのようにどやどやと案内された。

いかにも高校の視聴覚教室といったかんじのところに、私ら受験生は名前のアルファベット順にすわらされた。机の上にはデスクトップのスクリーンと、ヘッドセット。机と机の間にはちょっとしたパーテーションがあり、隣の様子は見えないようになっている。

簡単な説明のあと、ピンク女史とそのアシスタントの方々はさっさとテストを始めたそうにしていたんだけれど、あっちからこっちから、


「これからやるのはリスニングですか?会話ですか?」←さっきリスニングだと女史が言ったばかり

「答えはどこに書くんですか?」←解答用紙はこれだと説明あったばかり

「消しゴムわすれました」

「とちゅうでトイレ行きたくなったらどうしたらいいですか」


などなど、質問が終わらない。
ピンク女史、ちょっとイライラしてきたご様子。それでもそこをぐっとこらえてなんとかテストは始まった。

始まったと思ったら思ったで、今度は、


「なんにも聞こえない!」

「ヘンな音がする!」

「となりのヒトがうるさいんですけど!」

「えんぴつの芯がおれました」

「ねえ、これもうテストはじまってるんだっけ?」

などなど、コメント&質問があちこちから湧いてくる。

質問がある人は静かに手をあげてスタッフの人が来てから静かにスタッフの人に聞いてくださいとつい1分前にピンク女史が言ったばかりだと思ったけれど、質問などがあるときは隣の人ではなくスタッフのヒトに聞いてくださいとも言ったばかりだと思ったけれど、そこんとこは皆さんスルーされていたようだ。

てか、あんたらこの時点でリスニングできてないよ、フィンランド語の問題じゃないよ、と思ったけれど、ともかく私は隣の人がすんごい勢いでこちらの様子をのぞき込んでくるので、それが気になってピンク女史のフォローに入るようは余裕はない。

結局、5分くらいしてからまたテストは最初から全員一緒にやり直しになった。

で、結果ですか?

テクニカル・ノックアウトですよ!

まず、答えを書く場所をちゃんと理解していなかった。

私らにはテスト開始前に問題の書かれた冊子が配られ、2択や3択の答えを書くためのマークシート風回答用紙がテスト終了後に配られることになっていたので、私はてっきり後から配られる解答用紙にはすべての質問の答えを書く欄があるのだと思い込んでいた。

でも、実際には、基本的にはすべて冊子に答えを書き、選択問題の答えについてのみ、後から配られる解答用紙に書くことになっていたのだ。

そんなわけで私は、問題の書かれた冊子はただのメモ用紙くらいに思っており、落書きこそしなかったけれど、文章で書くとこなんかは走り書き、下手したらほんとにメモしか書いてないという状態。

あんなで提出するくらいなら、いっそのこと派手な落書きでもしちゃえばよかったわ。。。
キン肉マンとかさ。。




会話のテストほうも同じ視聴覚室で、リスニングテストのあと休憩もはさまずそのままあったのだけれど、こっちのほうはさらにスゴイことになってしまった。

会話のテストといっても英検のように生身の人間相手にしゃべるのではなく、パソコンから流れてくる録音済み音声にあわせてしゃべるのだというのは知っていたのだけれど、なにせ練習ですらこれを一度もやったことがなかったので、

「ええ、なに?もうしゃべっていいの?」

「ええ?何も聞こえてこないんだけど、これって何?問題文だまって読んどけってこと?」

「ええ??え?1分でしゃべろっていうけど、いま私何秒くらいしゃべってんのかな。あとどのくらいしゃべればいいわけ??え?てかもう実はしゃべるとこすでに終わってる??」

などなど、もうはっきりいって自分が何をしているのかよくわからない状態だった。
すっかりパニックの波に飲み込まれてしまったおかげで、一番シンプルな『これこれこういうテーマについて、自分の考えを述べてください』という問題ですら、

「あーーーー」

「えー、うー」

などなど、あいうえお系の音を発するくらいしかできなかった。

あ、そうそう。
テスト終了を告げるピンク女史の声がひびき、視聴覚室からとぼとぼと外に出ようとしたら、おんなじクラスのみんなにつかまり、

「アンタ、声でっかいんだって!隣のヒトの声は気にならない程度なのに、部屋の反対側からアンタのあーウー言う声聞こえてきて、気になってしょうがなかったんだからね!」

と断罪された。
や、私としては、相当ヒソヒソしゃべってたつもりだったんだけどな。。。

そういえば知床でガイドの仕事もしてた社会人1年目の時、よく先輩に知床五湖で、
「カトーさん声通るよね。一湖展望台でガイドしてる声、対岸から聞こえるもんね」
と言われたもんだった。

会話のテストはみんなそれぞれ必死でやってて、誰もへんな質問したりしないし隣のヒトもかまっててこないし、私の出来こそよくなかったけど、まあこっちのほうが邪魔が少なくよかったと思っていたけれど、邪魔してたのは、私だったのね。。すみませんでした。。




視聴覚室から出た後、20分の昼食休憩があり、今度は別の階にある50人くらいは入れそうな大きな教室に連れていかれた。

そちらは普通の高校の教室のようなかんじで、黒板のまわりには何やらお知らせのプリントや何かのイベントのポスターなんかがはってあり、窓辺には金のなる木の鉢植えがちょっと出てきた太陽をあびてつやつやしていた。

席順は、こんどはアルファベット順ではなく、ピンク女史の独断で指示された。

「そこのアナタは、ここね。そっちのアナタはこっちに座って」

私は黒板の真正面、最前列の席を指定された。

右どなりには、黒い髪をぐるっとお団子にしてまとめ、手には金の指輪をいくつもはめたベリーダンサーみたいなアイライン濃いめのメイクをした臨月風のおんなのヒト。

左どなりには、化粧っ気がなくて、薄い緑のイスラム教徒スカーフを頭からすっぽりかぶったアフリカ系の小柄なマダム。

今度は読みと書きのテストが始まった。それぞれ50分。
それぞれの間に5分のトイレ休憩はあったものの、基本的にぶっ続けだった。

テストがはじまって最初の20分ほどは静かだったのだけれど、30分をすぎたころから隣のヒトなどとオシャベリする人が発生し、

「テスト中は、おしゃべりしては いけませんっ!!!」

と、ピンク女史声を荒げる。

それでもしゃべっているヒトの注意に行ったり、「質問があー」とか「終わったら教室出て行ってもいいですかあー」とか言って手を振り回しているヒトたちの相手をするために、ピンク女史、テスト中もあっちに行ったりこっちに行ったり、いそがしい。

私はというと、両サイドのおとなりさんが2人とも、問題文とにらめっこするときは音読したいタイプの人々だったせいで、悶絶していた。
自分の頭の中で読んでいる声と、この2人の声がかぶっちゃって、なんかこう、集中できないというか、油断するとすぐ、自分がどこまで読んでたかわかんなくなっちゃうのだ。

たぶんテスト中は音読も禁止だと思うんだけれど、そこらへんのとこに注意をはらってくださるはずのピンク女史は教室の後ろのほうのどこかで取り込み中らしく、私らのところには気が付いてくれない。

しばらくしたら、今度は右隣りのアイライン命ベリーダンサーが、

「ねえ、ねえ、8ページ目のこたえ、なんて書いた?ちょっと見せてよ」

とか、大胆なことをおっしゃる。

学校のテストよりカンニングに厳しいはずのYKIテストにおいて、お隣さんにダイレクトに答えを聞かれるという事態などまさか想定すらしていなかったので、私はおおいにキョドり、

「ええっ?!ええっ、なッ、何??」

どもること、数回。

「ぺらっとページめくるだけでいいから!」
と、ベリーダンサー。

具体的な指示まで出してくれたおかげで、私はようやく彼女がホントに本気で答えを見せろと言っているのだと理解したのだけど、


すごいなYKIテスト!!


受験する人らって、国籍とか進学とか就職とかそういうもんしょって、準備にも気合いれて、フェアープレー精神にのっとって、真摯に試験にのぞむ人々ばっかりなんだと思ってた!

こんな展開もありなのか!

テスト中にしゃべってる皆さんや、スタッフの人のいうことスルーな皆さんもけっこういるし、しかもお隣さんは答えを見せろとおっしゃってらっしゃる!


これでビビってるわたしって、やっぱよい子代表日本人だわ!!




こんなわけで、約4時間半のテストを終え会場を後にした私のココロは、すっかり干しコケモモのようになっていたのでありました。



結果は2か月後に送られてくるそうです。

結果を見るまでもなく、今回の私はかなり準備不足だったので、またそのうち勉強しなおしたいと思います。

今日はちょっと長くなったのでもうこれで終わりにしますが、YKIテストの準備に役立つはずのネット上にある教材など、次回にでもご紹介したいと思います。同志のみなさんのご参考になれば幸いです。


ともかく、今回お知らせしたかったのは、


YKIだからって油断してると、こんなことも起きちゃうのだ!

テスト会場ではおとなりさんに要注意!

と、いうお話でありました。


それでは、また!




にほんブログ村 海外生活ブログ フィンランド情報へ

いつも更新おそいけど、しょうがないな、次回も待っててやるよと思っていただけたら
応援クリックしていただけるとうれしいです。






コメントを投稿

Latest Instagrams

© Kato@Oulu. Design by FCD.