ふたご赤ちゃんと、アルコール中毒のおばあちゃんの話。

2014年12月4日


きのう、インターン帰りに急ぎ足で暗い道をシャカシャカ歩いていると(すべるのでスリ足)、フィンランド語学校友達サリフにばったり会った。

つま先から頭のてっぺんまで気を抜かないオシャレボーイ、サリフは22歳。
セネガル生まれのガンビア人。
本人は「セネガンビア人」と言っている。(「フランスとイギリスの勝手な植民地支配のせいで今でこそこうなっちゃったけど、もともとは同じ国」という彼なりの思いからこう言っているらしい。)


で、そのサリフ、つい先日、ふたごの赤ちゃんのお父さんになった。

奥さんはプラチナブロンドヘアーがまぶしい、フィンランド人。
奥さんとサリフの間には、こないだ生まれたふたごの赤ちゃんに加え、1歳半になる女の子がいる。


「ふたご無事に生まれてよかったね」

というと、

「ありがと。あー、でもこれから超大変。いま学校も休んでるの。」

と、サリフ。

なんでも、うちらが通っている移民向けの語学学校は、主催している職業安定所と相談の上、3週間ほど出産休暇をもらうことにしたんだそう。
たしかに、1歳半+新生児2人の世話は、奥さんだけじゃとても無理よね。。。




いかんせんバス停脇の道端立ち話なんで、ちらちら聞いた細切れ話なんだけれど、それにしてもずいぶん色々な「ふたごサポート」があるらしかった。



まず、両親学級からして、「ふたご親専用の両親学級」らしい。

日本でもフィンランドでも、というか地球上どこの両親学級に参加したこともないので私としては違いを比較しようもないのだけれど、どうもそこではふたご親ならではの心構えや予備知識をさずけてくれるもよう。

そりゃあ、すでに出産経験あるヒトにとってだって、2人いっぺんに産むなんちゅうのは未知の世界の話だものね、ふたご専用クラスが必要よね。。。





サリフによると、出産そのものも相当大変だったらしく、そんなときこの時の両親学級で聞いた話がなにかと思いだされ役に立ったらしい。いつかカト家にも是非ふたごをという野心を日頃から温めている私としては、どこがどう役にたったのか詳しく聞きたかったのだけれど、立ち話なんで聞きそびれた。



ふたご両親専用学級、すごいな…と、ここまでですでにけっこう私は感心してたのだけど、これら以上のけっこうな衝撃は、

なんとサリフ家には当面の間、育児サポート要員としてプロの保育士さんが毎日家まで来てくれるということ。
しかも、タダで!!

ぎょえー、そんなのアリなのね。。。


「え、でも、奥さんのお母さんオウルに住んでるんじゃなかったっけ?奥さんのお母さん応援に来てくれてるんじゃないの?その保育士さんと奥さんのお母さんの2人体制なの?」

日本よりずーっと育児サポートシステムが発達していると思われているフィンランドでも、やっぱりなんだかんだいってジジ&ババに子育てサポートをしてもらう家庭は多い。

個人のベビーシッターやプロの家事サポートのヒト、つまり家族以外の「ヨソのヒト」が入ってくるっていうのは、わたしは聞いたことがなかった。
だから、ちょっと失礼かもと思いつつも、サリフ家ではなんでそんなことになったのか、思わずその背景事情を聞いてしまった。


「あのね、うちの奥さんのお母さん、何にもできないの。子育てしたことないから」
と、サリフ。


え?
ええ??


じゃあ、あんたの奥さんは誰がそだてたんだ?!という顔してポカンとしている私にサリフは続けて、


「うちの奥さん、児童養護施設育ちなの。」

「お母さん、若いころからアルコール中毒で、子供産んだはいいけど育てられなかったから。」

だから、おむつの替え方も知らないし、ミルクの準備もできないのだそう。


「奥さんが大人になってからは2人ともそれなりに仲良くしてきたんだけど、うちらに子供が生まれてからはまたケンカばかりしてる。」

「子供の世話何もできないのに、孫にはかまいたいと言って酔っぱらった状態でとつぜんうちにやってきたり、こっちが何か手を貸してほしいときは連絡つかないか、連絡ついても酔っぱらってて何もできないから。」


サリフによれば、奥さんはただでさえ育児で疲れている上に、孫ができても相変わらずなことをしている自分の母親に対しての憤りが加わって、母親の顔を見るたびにイライラが爆発してしまうのだそう。

家に入れろ入れないで、奥さんとお母さんがアパートの玄関先でケンカするのも日常茶飯事だとのこと。

だから、ふたごが生まれたあとのサポートに奥さんのお母さんを投入するのは、あてにならないどころか、逆に奥さんのストレスを倍増させてしまうだけなのだとサリフは言った。





サリフの奥さんだって、ドアベル鳴ったら「お母さん来てくれて助かったわ、入って入って!」とか言いながら迎えたかったかもしれない。

他のヒトには聞きにくいことや頼みにくいことこそ、自分のお母さんをたよりにしたかったかもしれない。

自分が赤ちゃんだった頃の話なんかを聞きながら、お母さんと一緒に子育てを楽しみたかったのかもなとも思う。



お母さんのほうはお母さんのほうで、自分の手で自分の娘を育てられなかったことを悔やんでいないハズはないと思う。

娘の子育てをやり直すことはできない分、孫の子育ての手伝いをして、できることなら過去を埋め合わせたいという気持ちもあるかもしれない。



それなのに、怒鳴りあって、バタンと閉められてしまう、ドア。


閉められたドアの向こう、アパートの暗い廊下先でひとり立ちつくすお母さんと、
閉めたドアを見つめながらため息をつくサリフの奥さんの姿を思い浮かべると、胸が痛んだ。




こういう事情をくみとってのサリフ家への保育士さん毎日家までタダで派遣サービスなのか、ふたごが産まれたらどの家庭もこういうサポートを受けられるのか、どちらなのかはわからないのだけれど、ともかくサリフの家にこういう助けがあってよかったと、私は思った。

アルコール依存症はフィンランドの大きな社会問題だと、フィンランド人本人たちもよく言うけれど、確かにその通りで、私のまわりでもアルコール依存症のために色々と苦労している話をしばしば聞く。

サリフの奥さんのお母さんは、いつか依存症を乗り越えて、ふつうのおばあちゃんになれるんだろうか。

ふたごの赤ちゃんは、おばあちゃん大好きになるんだろうか。


そうなってほしいと、私は思う。




それでは、また!




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