エアギター世界チャンピオンに間違われた話

2014年9月6日



一週間も前の話で恐縮このうえないのだけれど、先週金曜、エアー・ギターの世界選手権があった。

今年は日本人の名倉七海さんが優勝なさったので、このイベント名を小耳にはさまれた方もいらっしゃるかもしれないけれど、念のため解説すると、エアー・ギターってのは、音楽にあわせてギターを弾くふりをするやつ。

最初はおもしろはんぶん見物気分で見てた観客のみなさんも、彼らエア・ギタリスト達の恥じらいをかなぐり捨てた捨て身とも思える演技に、見えないギターも思わず見えてきちゃうという、それがエア・ギター。。。




で、そんな、裸の王様もビックリ!な不思議現象をイベント化した世界選手権は毎年わが町オウルで開催されている。

なのだけれど、金曜日にあった今年の世界選手権の優勝決定戦というの?ファイナルパフォーマンスは、風邪をひいていたので見に行かなかった。去年行ったときすんごい寒かったのが思い出され、こりゃ今日行ったら風邪悪化するわ、しかもあの人込みの中でゴホゴホずるずるやってたら、オウル市民の皆様および世界各国からお越しの皆様に申し訳ないな、と思ったのだ。

しかし!

行った方々みんながクチをそろえて

「去年よりずーっとよかった!」

と言うではないか。



聞けば、会場内の配置と人の導線が改善され、去年のようないったん足を踏み入れたら身動きできないというようなことはなかったそう(去年はヘンな柵があって、わたしらは柵に追い込まれたトナカイの群れようだった)。


それに、選手権パフォーマンスも前座バンドも、今年のほうがずっとよかったらしい。

「しかも!」

と、ワタシに詳細をレポートしてくれた『もし宝くじにあたったらさ…』が口癖のインテリ系フィン男子リクが鼻息ふがふがさせながら言うには


「今年の優勝者は、日本からきた女子だった!!」

「ししししかも、超かわいかった!!」

宝くじ男リク、鼻息MAX。呼吸困難の2歩手前。

(彼は選手権のあった夜わざわざこの旨電話で通報してくれたんだけど、コーフンしてるのとよっぱらってるのとで鼻息がすごいことになってて、最初電話に出たときはヘンタイからのラブコールかと思った。)

リクのふがふがレポートは続いた。


「そのうえ、今年の優勝賞品は、本物のギターだった!!!」


ぎょえー、まじで!?


そう、去年の賞品は「エア・ギター」だったのだ。

そう、エア・ギタリストにしか見えないギター。

科学者はこれを「空気」と呼ぶ。。。

まあ、「エア・ギター世界選手権」の優勝賞品に本物のエア・ギターほどふさわしいものは無いっちゃあ無いのかもしれない。

しかし!

受け取る優勝者の方は、世界各国の熾烈な代表選抜大会にかちぬき、地球の反対側からはるばるやって来たかもしれないのだ。思い出と目に見えないギターだけを携えて帰国していただくなんて、ちょっと忍びないじゃないですか!

土産話も、証拠品があってこそ色鮮やかになるというものですよ!


そんなわけで、日本の人が優勝した、しかも賞品がちゃんとあったという知らせを聞いて、私は人知れずホッとしていたのだ。ほぼ、遠方からのお客をもてなす親せきのおばちゃんのキモチだ。

ところが、そんな親せきのオバちゃんに思わぬ飛び火があった。

なんと、町を歩いているとき、優勝者の名倉七海さんに間違われたのだ!!




その奇跡の瞬間は、私が鼻水をすすりながらオウルの町の中心部を歩いていたら突然やってきた。ときは、選手権の翌日の土曜日の午後である。

その日は市民が好き勝手にフリマをやるリサイクルイベント、シーボウス・パイヴァ(クリーニングデイ。詳しくは過去記事『シーボウスパイヴァでフィン人マダムたちに値切られまくる』をご参照ください)で、私は自分がだしていたお店をたたんで荷物を車にのせたあと、やー、めっちゃ疲れたわー、ビール飲む元気もないわー、でもお茶くらい飲んで帰りたいわー、と思ってオウル市内で唯一まともなお茶が飲めるカフェに向かってほぼ無心・無表情で歩いていたのだった。

私の進路方向から、20代後半か30代前半とおぼしき若者2人がこっちにむかって歩いてきた。

2人とも、黒いTシャツに黒い皮ジャンにジーンズ、黒く染めた長髪をねずみのしっぽみたいなポニーテールにまとめて、首やら手やらにはタトゥーをちらつかせるという、フィン人ヘビメタファンの掟に沿ったかっこうをしている。

オウル市内にはこういう人らうじゃうじゃいるので、たいして気にもせず私は私の道をあゆんでいたんだけれど、その1人がとつぜん英語で話しかけてくるじゃないですか!


「昨日エア・ギターに来てたヒトじゃないですか?」

えっ?
わたし、行ってないよ?家で寝てたよ?


「すっごいいいパフォーマンスで、絶対優勝すると思ってました!」

えええ?

昨日優勝したヒトのパフォーマンスがよかったって、わざわざ私にレポートしてくれてんの?
だいじょうぶ、きのう宝くじ男が教えてくれたから、よかったのは私ももう知ってるよ。

てか見かけによらず物ごし超謙虚だなメタルボーイズ。
ぎゃくにコワいよ!

ってか、なにアナタたち?その手はなに?
握手ってこと??

。 。 。

わ、わかったわ!
このヒトたち、昨日優勝した名倉七海さんと私のこと、間違えてるんだわ!!

ぎょえー!

おもわず鼻水もとまる、この、衝撃のひと違い。。




ちかって申し上げたいのだけれど、私は名倉さんにはぜんぜん似ていない。

グーグル先生に聞いた情報でアレなんだけれど、優勝者の名倉さんは元アイドルグループ出身らしく、はっきり言ってフツーの女子のスタンダードを大幅に上回るカワイサかげんだ。
しかも、19歳ですよ!

かたやワタクシ、日々進行するホウレイ線に夜な夜な血眼でアンチエイジングクリーム塗り込む、34歳ですよ!
今年の誕生日後はアラフォーってカテゴリーでございますよ!

共通点といえば日本人であるってことと、背格好がちょっと似てるってことと、髪の毛の長さが近いってくらいだ。

でも、髪の毛だって、長さこそ同じくらいだけれど名倉さんみたいなツヤ黒髪じゃないんですよ、私のは下半分は赤く脱色されてんですよ、黒100%と50%の違いって、おおきくないですかね?
それとも男子ってのは、美容師さんでもないかぎり、そういうのぜんぜん気が付かないもんなんですかね?


それとも、なに?
私、自分でも気が付かないうちに、エアギターしょってた?





「ややや、あの、私、優勝した日本人じゃないです!」

と彼らに私は申し上げた。

そして続けて今度はフィンランド語で申し上げた。


「ただのオウル住民です。。」


彼らは一瞬にして状況を理解し、言いだしっぺの彼なんて消えてなくなりそうな恥じ入り顔しながら
「ご、ごごめんなさい!」

と連呼。。
しかしうちらの手はつながったまま。。

そう、さっきの出された握手の手、反射で思わずにぎり返しちゃってたのだ。。
状況はどうあれ、握手の手だされたのに握手しかえさないなんて、失礼だと私の反射神経が主張したんですよ。。


穏やかな日差しあたたかい午後のオウルの街角で、手を握り合いながら恥ずかしがるヘビメタ青年と日本人三十路っこ。。。


ちょっと離れたところから目撃したダンナによると(彼はだいぶ先をすたすた歩いていた)、

「こんなに不思議な光景、そうそう発生するもんじゃないね。。。」


ダンナよ、観察してないで、心配してくれ。




ところで、話はちょっと飛ぶんだけれど、エアギターの世界選手権の開催地はなんでオウルなの?
とこのあいだ我らがグーグル先生にお伺いしたら、

これはオウルで20年以上前から開催されているミュージックビデオ・フェスティバルというのがあって、そのプログラムの一部としてこの世界選手権が始まったというご縁らしい(今でも同時期に開催されている)よ、とのことだった。

ちなみに初回は1996年だそう。

1996年ていったら、私が高校留学でフィンランドに来た年だけれど、そんなのがあったとは記憶にない。。それっぽいのがあったような気もするけれど、どうだったかしらねえ。。。

「私は第1回エア・ギター世界選手権の目撃者だ!」

とか言えたらなにがしかの貫禄でもついたかもしれないのに、おしかったわ。。
と、調べたこの時は思っていたのだけれど、

もうそんなの、いいのだ。


「エアギター優勝者に間違われたことがある!」


というほうが、よっぽど飲み会のネタになるじゃないですか!
武勇伝通りこしてレジェンドクラスのネタじゃないですか!

くくくくく。。。




…というわけで、これから当分の間、酒のんだらこの話させていただきますので、みなさんどうぞよろしくお願いいたします。


最後に、2014年エアギター世界チャンピオン名倉七海さん、Nagura "Sevens Sea" Nanamiさんのパフォーマンスを、どうぞ!






それでは、また!



にほんブログ村 海外生活ブログ フィンランド情報へ

ブログランキングに参加しています。楽しんで読んでいただけたら、クリックしていただけるとうれしいです↑

コメントを投稿

Latest Instagrams

© Kato@Oulu. Design by FCD.