白い帽子のナゾ

2014年5月6日





前回の記事に引き続き、春の到来をお祝いする祝日ヴァップ(4月30日~5月1日)前後にフィンランド人がかぶる白い帽子の話。

この帽子がフィンランドの高校にあたるLukioという学校を卒業するときにもらえる帽子であることは前回のべた。

問題は、なぜそれをヴァップの時にかぶるのか?っていうことなのだ。

長いことこの疑問を放置してきたうえ、これから先ずっとこのモヤモヤ度15000%な疑問を引きずりながらフィンランドで生きていくのは嫌だったので、周りのみなさんにいろいろご迷惑おかけしながら調べた。(いまごろ陰で私はナゼナゼ・ジャパニーズとか陰口たたかれてるに違いない)。

で、結論?

あっけないもんですよ。

一言でいうと、スウェーデン由来の習慣だったのですよ。

でも、この一言だけだとなんのこっちゃという感じなので、以下だらだら解説したいと思います。
帽子デビューエピソードにはじまり、フィンランドに帽子がやってきた!な話を経由してなぜか明日すぐ使える帽子トリビアに飛び火しつつ、次回記事につながる仕様になっております。。




卒業式にもらうあの白い帽子、あれがはじめて学生帽として北欧に登場したのは、1845年。

1845年ったら、日本は江戸時代終盤。
マイフェイバリット偉人であるジョン万次郎が漂流後にアメリカにたどりついてから数年たったころで、アメリカ発の日本人としておっかなびっくり英語しゃべってはドキドキ暮らしていたころだ。

万次郎が「あっ通じた♡」とかハニカんだりしてたころ、デンマークはコペンハーゲンで、スカンジナビア各国の学生集会が開かれていた。そのとき、スウェーデンのウプサラ大学の学生がお揃いでかぶってきたのが白い帽子なのだ。

ウプサラ大学ったらスウェーデン最古の名門大学。最古というだけあってできたのがほんと昔で、なんと創立1477年。そのころ日本は室町時代だ。織田信長が尾張の大ウツケとかいわれながらもブイブイ青春時代送ってた時代である。古い。

歴史ある名門校の学生がバシッとお揃いで決めてきたのが、他大生の目にはよっぽどまぶしかったのだろう。
この集会以降、この白い学生帽の類似品がスウェーデンのほかの大学だけでなく、デンマーク、ノルウェー、そしてフィンランドの大学にパーッとひろまったらしい。

学生全体に広がるにつれ、かぶるTPOというのもぼちぼち確立してきたらしい。学校の特別なイベントの時のほか、夏の間だけかぶることにしていたそう。で、その夏ってのはどう定義されていたかというと、5月1日から9月末までなのだ。



ウプサラ大をはじめスウェーデンの古い大学には、4月30日の朝から晩まで繰り広げられるsiste april という名の春の到来をお祝いするというか学期の終わりをお祝いするイベントがあった。

学年末のテストもほとんど終わったしもう授業もほとんど残ってないし、あとは夏休みを待つだけだわー、もう私ら自由の身だわー!春も来て気分も明るくなってきたし、私らの未来も明るいような気がしてきたわー!とまで言ったかどうかはわからないけれど、ともかく在校生だけでなく卒業生も一緒になって祝ったのだそうだ。

そのイベントの時に、「自由」「人生の春」を象徴する小道具として登場したのが、夏の間だけかぶることになってた夏用学生帽、例の白い帽子なのだ。

こうして、かぶっただけで開放感と夏のキラキラ感が演出されてしまう、魔法の白い帽子が誕生したのであった。




「え、でもあの帽子、大学生だけがかぶるもんじゃなく、高校卒業するときにもらうもんじゃん!いつからなんでそうなったの?」

というツッコミというか疑問がわきあがってきたので、そこんとこ調べたら、
これは昔、高校の卒業試験が大学の入学試験を兼ねていたことに由来するらしい。
というか、そもそも当時の高校というのが明治時代の日本でいう大学予備門というか、大学に入るための準備のための教育機関という位置づけだったようなので、当たり前ったら当たり前か。

それが、少なくともスウェーデンでは1864年ごろからその後実際に大学に進学するかどうかにかかわらず高校卒業時に高校にて卒業者全員に与えられるようになった模様。

当時は卒業者のほとんどが実際に大学に進学していたので卒業時にあげても入学時にあげても意味合いとしては変わらなかったらしいのだけれど、まあ、その後の時代の流れとともにいろいろかわり、高校卒業時にこの帽子をあげるという習慣だけが残ったもよう。




この白い帽子習慣が広まり始めた当時、フィンランドはスウェーデンではなくロシア(ソ連)の支配下にあった。

1810年にロシアになった後、スウェーデンの影響を減らしたいというロシア皇帝の願望もあって首都がトゥルクからヘルシンキになった。当時唯一の大学だったヘルシンキ大も火事でやけちゃったのをきっかけに1827年にヘルシンキに引っ越してきた(もともとはトゥルクにあった)。
けれどロシアになった後も、教育システムや学校のやり方などはスウェーデン式がそのまま続いたらしい。

そんな背景もあって、1870年代にはスウェーデンからやってきた白い帽子習慣はフィンランド国内でも大学の習慣として根付いていたらしい。そんでもって戦後の1950年代までは、スウェーデンのオリジナル習慣と同じように、かぶるのは4月30日の夜から夏の終わり、9月の末までだったそう。

ちなみに、フィンランドがロシアから独立する1917年まで、フィンランドには大学がヘルシンキ大学しかなかった。

これがどういうことかというと、1917年までフィンランドの高校卒業者の国内大学進学先としてはヘルシンキ大しか選択肢がなかったということなのだ。

これがどういうことかというと、1917年までのフィンランドの高校卒業者全員がヘルシンキ大入学者扱いされてたということなのだ(実際に進学したかは別の話)!

(これから1つトリビアが発生するので明日使いたい方はメモのご用意をおねがいします)



そんなこんなで、いまでもその当時を記念して、今でもフィンランドで高校卒業時にもらう白い帽子には、ひとつのこらずヘルシンキ大の学生連合の紋章がついているのだ。



し、しらなかった。。。。

紋章というのは、これ↓




そう言われれば、高校の卒業式のときにあったな、コレ。。。
今までただの飾りと思ってたわ。。。





私はフィンランドの大学生をやったことがないのでどこまでホントかわからないのだけれど、大学生全員がヘルシンキ大生以外もみんなヘルシンキ大の紋章つきの帽子かぶっていては変なので、ヘルシンキ大以外の学生は入学後に自分の学校の紋章バッジを買って付け直すように学校側は推奨しているらしい。




「帽子の話はまあいい、わかった。で、学期の終わりに開放感いっぱいでかぶるってのもわかった。でもそんなら終業式の日とか卒業式の日にやればよくない?なんでまだ学校完全に終わってない4月30日にやるわけ?なんでそれが春の到来を祝うこととつながるわけ??」

という話については、またそのうち書きます。
長々とすんません。。。。

今日は風邪気味なのでもう寝ます。

それでは、また!



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