ムギノー。サレオツ風にいえば「フィンランド式Wheat bag」

2014年3月1日



前回ホッカイロの話を書きながら、素朴度1500%なフィンランドグッズ「麦嚢(ムギノー)」たちのことを思い出したので、今日はその話。

「ムギノー」とは何か?という話の前に一言お断りも申し上げたいのだけれど、「ムギノー」という呼称は、私が勝手につけたカト家用語だ。正式名称でもフィンランド名正式和訳でもなんでもない。

ちなみに発音は、平らにあと引くかんじで「ムギノー」。


フィンランド語ではランポトゥーニュ(直訳すると、あったかい枕?とか言ったりするらしいが、「これなんて言うの?」とフィンランド人に聞いてみても人によって違うこと言うので、もう私は勝手に自分で和名をつけちゃうことにしたのだ。


その昔、ジョン万次郎が命からがらの漂流後にアメリカにひとりぽっちでたどり着いたとき、聞いて覚えて見て理解した言葉をメモして自分なりの単語帳を作っていたという。その中に、「砂糖味噌」という言葉があったというのを、どこかで読んだ。

これは今でいう「ホイップクリーム」のこと。
目の前に出されたケーキかなにかにぬったくってあるこの「白くてあまい粘土状の食べ物」を、自分の知っている日本語をフル稼働して説明しようとスプーン舐め舐め悩んでいる若きジョン万次郎青年の姿を思い浮かべ、私はちょっと感動したものだった。

それ以来、私の中では「いつか私もジョン万次郎青年のように何かに自分で日本語名をつけてみたい!」という願望がはんぱない。

坂本龍馬もあこがれた激動の幕末における影の重要人物 ジョン万次郎、実は甘いものとウナギが大好きだったジョン万次郎、実は絵がヘタクソすぎて図解できないからなんとか言葉で表現しようとがんばったとかいうわれらが万次郎。。。

右も左も何コレ?状態のフィンランド生活、「大変ね」と言ってもらえることも多いのだけれど、私はあんまり困っていない。辞書ひいて探してる言葉なかったりしたら、逆にウキウキはちきれんばかり。私がジョン万次郎化するチャンス到来である。

こんな私のジョン万次郎願望のあおりをうけたのが、この「ムギノー」だ。。






で、この「ムギノー」とはなんぞやという話(前置き長くてすみません)。

私の手元にはいま4個あるのだけれど、ぜんぶ友達のヘイディが作ってくれたものだ。


布の素材はシーツとか枕カバーとおんなじようなペラペラのもの、コットンとかだと思う。
布の絵柄は、これを作ったヘイディの好みでも、もらい手である私の好みでもなく、あえて言うなら布屋さんのハギレセールコーナー担当者の好みだ。

大きさはだいたい幅20センチ、長さ40センチほど。




大きさ比較のために、ショットガンで撃たれても「アイル・ビー・バック」なマッチョなフィンランド人おじさんベリマッティもおすすめの握力増強器具、「にぎにぎ大将(カト家通称。商品名ではない)」を並べてみた。

重さは、…毎日のように使っているのに実は知らなかったことに気が付き、あわてて秤にのせてみた。




だいたい1個700~900グラム。

何が入っていてこんな重さになっているかというと、もう「ムギノー」という名前からお察しいただているとおり、大麦だ。殻ごと。

それにしても、「中身はぜんぶ麦です」っていうとふうーんって感じなのに、「麦100%」って言ったらガゼンありがたみわいてくるのは、私がタダのビールの飲みすぎな人だからだろうか。でも、もしムギノーを日本に輸出販売することになったらパッケージの裏の原材料名に私は絶対「麦100%」って書くね。そのほうが絶対売れるに違いない。


って、そんな話じゃなかった。殻つき大麦の話だった。


いくらフィンランドとはいえ、殻つきの大麦はスーパーでは売ってない。
ヘイディがどこで入手しているかというと、実家だ。

ヘイディの実家では馬を飼っていて私も月に何回か乗らせてもらいに行っているのだが、ムギノーの中身を変えたり新しく作りたいときに、ヘイディはその馬の餌用大麦をバケツにくんでもらってくる。
(殻つき大麦、スーパーでは売ってないけれどホームセンターのペットコーナーで売っているところもある。馬もペットだから)。


ヘイディはいつもこの大麦をバケツからざざーっとすくって、布の袋に生のまま投入している。

聞いたら、中身は大麦じゃなくても、殻ごとの穀物であれば、なんでもいいらしい。
フィンランドにはないから使えないけれど、「米」になるまえの「稲」とかでもいけるんじゃないかとヘイディが言っていた。




で、肝心の使い方なのだが、2通りある。

①電子レンジに2分ほど投入して、湯たんぽとして使う
②冷凍庫に1時間ほど投入して、冷やして氷嚢として使う


私はもっぱら①のほうしかやらないんだけれど、2時間ほどあったかい。布団の中にいれたり、肩にのせたりして使う。あったかいと、トーストのようなにおいがして、たいへんよろしい感じだ。

フィンランドの家は断熱構造と暖房システムがすばらしくよくできているので、冬でも家の中で寒いと思うことはほとんどない。それでもこのムギノーの「じんわりホッカホカ」感は別格の存在だ。ほんと、いいもんなのだ。

今だって、これ書きながら肩にのっけている。

寝るときもほとんど毎日1個くらいふとんに持参。寝入ったころには冷めちゃうので、熱くて寝苦しくなって目が覚めちゃうということもない。


ちなみに電子レンジになんか入れたら麦がポップコーンみたいにはじけちゃうんじゃない?と心配になる方もいるかもしれないけれど、少なくとも私は今まで5年くらい使っていてもはじけさせちゃったことはないです。でも加熱しすぎたらたぶんはじけると思うので、気を付けています。




はじめてヘイディがこれを作ってくれた時、これはフィンランドに昔からあるもので、買うよりも、自分で自分用につくったり、手作りしてプレゼントしたりするのが多いのだよと言っていた。

ヘイディが結婚したときも、ヘイディのお母さんが作ってプレゼントしてくれたそうで、いつだか見せてもらったことがあ。白い布に、結婚祝いの詩がヘイディのお母さんの筆跡で書いてあった。

私にプレゼントしてくれるときも、いつもヘイディは油性マジックでなにかかにかメッセージを書いてくれる。

そんなこともあって、これはフィンランド固有の昔ながらの生活用品なのだろうとずっと思っていたのだけれど、実はそうでもないのかもと最近思い始めている。




思い始めたきっかけは2つある。

ひとつめは、ダンナ父の言葉だ。
ある日、私の愛用のムギノーについてダンナ父としゃべっていたら、ダンナ父が言った。

「フィンランドは戦争がおわってだいぶたつころまで、食べるものもままならないほど貧しい国だった。もし麦があったら、湯たんぽ替わりに袋に入れる前に、食べちゃったと思う。まあ、お金もちは別だったかもしれないけれど」

たしかに、その通りかもしれない、と思った。

戦争というのは、第二次世界大戦のことだ。フィンランドは第二次世界大戦中、お隣の国ロシア(当時はソ連)と戦っていた。戦争のドサクサにまぎれてロシアがフィンランドに侵入してきて、それを食い止めようと抵抗して、戦争になっちゃっていたのだ。そして、負けた。

日本と同じで第二次世界大戦後、フィンランドは敗戦国になった。ロシアに払うことになってしまった賠償金は3億ドルにもなったらしい。市民生活も厳しかったらしく、ダンナ父は戦後生まれだけれど、家が農家なのに小さいころはおなか一杯食べた覚えがないと言ってた。


そんな話を聞くと、ムギノーはフィンランドに昔からあったものかもしれないけれど、一般的になったのは市民生活が豊かになってからのこと、比較的最近の話なのかもなあ、と思う。


それに、電子レンジがなかった時代はあっためるのにどうしていたのか、という点も気になる。湯たんぽならお湯わかすだけでいいけど、ムギノーはストーブの上でつるしたりでもしてたんだろうか。いずれにせよ、電子レンジ普及はムギノー普及にかなり貢献したにちがいない。




ムギノーがフィンランド固有の昔ながらの生活用品じゃないかもと思い始めたきっかけのふたつめは、イギリス大学院時代のハウスメイトたちが去年の夏に遊びに来たときの言葉だった。

当時私は築140年とかいう庭つき2階建ての長屋風の家に住んでいた。シェア・ハウスってやつだ。

シェア・ハウスメイトは、ドレッドヘアーがトレードマークだったイギリス人のトム、フィンランド語よりもスペイン語が得意なフィンランド人のビッレ、中国語とアラビア語と密造酒づくりが得意なアイルランド人のアンドリュー。みんな院では私と同じコースで学んでいた。

ハウスメイト以外にも毎日友達がたくさん遊びに来て、飲んでしゃべって、笑ったり怒ったり、朝から晩まで楽しく忙しい日々だった。

毎日毎日ものすごい酒を飲むもんだから、ある時から酒代を安く上げるためにみんなで自家製ワイン造りにはげんだものだった。。。





そんな上記ハウスメイトのみんな、準ハウスメイトのみんな(家賃払ってないけど住み着いてる人々)が、去年の夏の私の結婚式にあわせてみんなでフィンランドまで来てくれたのだ。

で、せっかく来ていただいたので、フィンランドのいいところやステキな品々などについて実物を見せたりしながらプレゼンしたりしたのだけど、ムギノーの話になったら、

「あ!それ知ってる、Wheat bagでしょ。イギリスで最近あちこちで売ってるよ」

と最近ペディキュアにはまってるイギリス男子トム。趣味ははだしでジョギングな超絶ナチュラル系マレーシア女子、スーメイはオーストラリアでも見たという。

えええ?そうなの? 


聞くところによると、ラベンダーとかのポプリとかもまじったのが店頭やらネット通販で売られていて、表面の生地もコットンだけじゃなくフリース生地とかいろんなバリエーションのがあるらしい。

でもって、イギリスで売られているものは「オーストラリアからやって来た」というようなふれこみで、女王様もお気に入りらしい。

ムギノー、フィンランドだけじゃなくスカンジナビアのほかの国とか、ヨーロッパのほかの国でも使ってるとこあるかもねとウスウス思ってはいたけれど、なんとオセアニアからやって来たと名乗っているのもあるとは。
びつくりぎょうてん。

まさかと思ってさっきグーグル先生に聞いてみたら、その、イギリス方面やらオセアニア方面からの回し者と思われるものが、日本でも売ってるじゃん!

ふつうに楽天とかでも!(→販売ショップ例。こんなかんじ

(楽天で検索してみたら33件もヒット→検索結果例。んなかんじ


そうか、英語ではムギノーのこと、Wheat Bagと言うのか。。。

Wheat Bagって、直訳したら、「麦の袋」。ようするに「麦嚢」、ムギノーじゃん!
気が合うわね、英語圏の皆さん。。。。





と、いうわけでフィンランドでは手作りが主流でお店で売っているのはあまり見かけないですが、もし試してみたいワ!という方は日本で類似品も売ってるようですし、もし殻つき玄米とか入手できればかんたんに手作りできますので、ぜひ試してみてください。


というわけで、ムギノー、シャレオツ風に言えば「フィンランド式Wheat bag」の話はおしまい。


それでは、また!



2014年3月2日追記> 
完成品として日本で売っているものは値が張る!手作りする場合に中身に入れる殻つきの麦とか、どこかで簡単に安く手に入らないか?というご質問を何件か受けましたので、調べました。

インターネットのペット用品店などで、ウサギやハムスターなどの小動物のための繊維質たっぷりのおやつとして、殻つきのオート麦を売っているのを発見しました。ご参考までに!
(あくまで例ですが→ 楽天ショップ 小動物ペット用品専門店 eペットやさん 「殻つきオート麦」




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