こおった海の上に公道が出現したので行ってみた話

2014年2月3日



オウルの海はただいま凍結中だ。

「え?海水って、塩入ってるからそんな簡単にこおらないんじゃなかったっけ?いくら北欧フィンランドで激寒ととはいえ、オウルのあたりって北海道よりちょっと寒いくらいの程度なのに、ちょっとおかしくない?」

という疑問をお持ちの方、おそらく理科マニアの皆様か流氷について考えてることの多い知床・網走の観光関係の皆様だと思うのだけど、そういう方々のために、なんでこんなあっけなくオウルの海がこおっているのか、簡単にご説明したい。

理由その1
オウルの海、つまりボスニア湾はふつうより塩分濃度がずっと低い。

どのくらい低いのか。
体感で表現すると、「うすーいすまし汁程度」。なめてもそんなにしょっぱくない。どんぶり一杯くらいなら飲めるような気がする。日本の海はコップ一杯でもキツイ。なんでこんなこと断言できるかというと、私はどっちの海でもおぼれたことがあるからだ。体験者は語る。

体験談もいいけど数字も出したほうが信憑性がありそうなので、さきほどウィキペディアで調べた。ウィキペディアが正しければ、全海洋平均の31.9パーミルと比べて、バルト海は26パーミルなのだそうだ。約20%ほど塩分が薄いことになる。

塩分濃度が低い理由は、海に流れ込む淡水の量が多いこと。バルト海には湖などから川を経由して大量の淡水が流れ込む。そして、日本の海のように大西洋とか太平洋とか大きな海流に面しているわけでもなく、したがって、つねにフレッシュなしょっぱい水が流れ込んでくるわけじゃないのだ。

理由その2
オウルの海、つまりボスニア湾は、水深が浅い。

いまでこそ海だけど、ボスニア湾は元はただの窪地、そのあと湖、そのあと汽水湖(海とほんのちょびっとつながっていてほんの少し塩分がある)、そのあとようやく本格的に海になったところなのだ。だから、平均深度が55m(とウィキペディアが言っている)しかないらしい。
でっかいプールより水たまりの方が先にこおるのと同じで、海だって浅ければ浅いほどこおりやすいのだ。

というわけで、皆様ご納得いただけたでしょうか?
納得していただけたとこで、そのこおった海の上を車ではしってきた話にぼちぼち進ませていただきます。



このこおった海の上に出現した道路。
これは、オウルと、オウルの海にぽっかり浮かんでいるハイルオトという島を海ががっつりこおっている期間限定でつなぐ道路だ。

(どっからどこまでかは、地図をご参照ください↓)


大きな地図で見る

ハイルオトは「島」といったけど、無人島に毛の生えたひょっこりひょうたん島規模のものではない。端から端まで車ではしって40分くらいかかるし、住んでいる人も千人くらいいる。行政管轄としてもこの島はオウル市の延長ではない、独立した町だ。独自の市議会があり、スーパーもあるし、郵便局もあるし、イケてる飲み屋やショッピングモールこそないものの、町として機能するのに最低限のものはある。

しかし、この島とオウルをつなぐ橋がない。
だから普段は車が30台くらい乗れるフェリーが橋のかわりをはたしている。

フェリー乗車料金はタダだけど10分ごととかに出ているはずもなく、時間帯にもよるけれど、朝夕の通勤ラッシュの時間でさえ20分に1本とかだ。たまに観光にいくならともかく、住んでる人にとっては不便なことこの上ない。

だから、海がこおったら毎年出現するこの「氷上道路」もかぎりなく「生活道路」のふんいきだ。
日本でこんな「海の上をはしる道路」があったら、週末ごとに観光客とか殺到しちゃって「甘酒あります」とかいう張り紙つき休憩所が発生したり、「ハイルオ凍せんべい」とかも発売されちゃうのかもしれないけど、そんなことはないのだ。観光資源としてこれを生かそうなんて誰も思いもしないらしく、ドライブに来る市民も私くらいのもんだったもようである。




こおりの道は、フェリー乗り場手前1キロほどの地点の道端から始まっている。
ちなみにこのあたりは猛烈に風がつよくて、風力発電の風車が巨神兵のようにそびえたっている。



道端に「こおりの道(Jäätie)」の看板あり。
私はこの場所を知ってたから見逃さなかったけど、はじめての人はさりげなさすぎて絶対見逃すであろう。
ちなみに車の運転手はダンナ。



道路の入り口に、2トン以下の車しかダメです、車間距離は50m以上あけてね、という標識が立っている。
2トン以上の車はフェリーに乗らなければならない。
というわけで、こおりの道開通中もフェリーは冬休みに突入するわけではない。まじめに運航している。北海道・紋別の流氷砕氷船ガリンコ号よろしく、セルフ砕氷して運行している。



道路は一方通交になっており、往路/復路の道路がここで二股に分かれる。
ちなみにまだこのへんは陸地↓



海の上らへんと思われるところまでやってきた。
車がはしるところは平らにけずってあるようだ。アイスホッケーなどのスケートリンクつくるときのノウハウが全力で活用されている模様。




フェリー乗り場へつづくいつもの道と並走。
この角度から見るのは不思議なかんじね。。



いつもならフェリー待ちの車が列になってる、フェリーのりば。
人気なし。
にんきなし、ではなく、ひとけなし。

それにしても、この光景を見てなんとなくうしろめたい気持ちになるのは、私だけかしら。。フェリーよ、アンタはアンタでいいとこあるって、みんな知ってるからひがまないでおくれ。。

それにしても、道路に亀裂がはいってるのが気になる。




ちなみに50キロ以上スピードださないでね、の下についている標識は「とまっちゃダメですからね」の標識。止まると一か所に重みがかかって、こおりが割れちゃうかもしれないということだと思われる。車をとめたらミシミシこおりが割れて、めりめり車が海に沈んでいくタイタニック的光景が脳裏にうかぶ。



ここホントに車で乗っていいのか心配になる、おもいきった亀裂っぷり。

そして亀裂をてらす、午後4時前のサンセット。



それにしてもこの景色、流氷がっつり接岸したときの知床ウトロの海にそっくりだわ。
私はオウルに来る前まで知床ウトロに8年住んでいた。知床を拠点にする自然保全系団体で働いていたからだ。

それにしても、このまま車ではしってったらハイルオトじゃなくウトロに着くんじゃないかってくらいの激似加減。このまま昔のアパートに帰れそうな気がする。帰ったらまず家の駐車場の除雪して、おわったら近所の温泉いって、そのあと近所の友達とかと一緒に鹿焼肉とかチャンチャン焼きとかつつきながら、ビールとかがばがば飲みたい。サケのメフンの塩辛もたべたい。あと、サケの頭の塩焼きもテーブル山盛りにたべたい。。



と郷愁にひたっていると、向こうからものすごい勢いで車がはしってきた。そうそう、ここは知床ウトロじゃないのね、我に返る。



ダンナはもくもくと制限速度まもって運転中。

写真とりたいからもっとゆっくり走れだとか、なんかウトロに帰りたくなってきただとか、助手席方面からの雑音はあんまり気にならないようだ。聞き流しスキルは生きる知恵だと、いつかおばあちゃんが言っていた。

それにしても、後ろの車があおってくる。ものすごい低速だけど。
やめてください、危険運転。




ということでハイルオト島到着。

フェリーのときは片道20分くらいかかるところ、車ではしっても20分くらいだった。早くも遅くもなし。しかしフェリーの待ち時間がないぶん、だいぶ早く感じる。
夕がたの帰宅ラッシュ時間帯だったこともあってか、後ろをみたら私ら以外にもけっこう車がはしっていた。家路を急ぐ、ハイルオト住民の皆さんだろうか。

夕闇がせまってきた。午後四時。
おなかも減ってきたので、私らもハイルオトをそそくさと後にし、家路についた。
次に来るときは雪景色のハイルオトももうちょっと楽しみたい。


というわけで、こおった海の上にある道路のレポートはこれでおしまい。

それでは、また!

(ハイルオトのフェリー乗り場にある、キオスク兼カフェ。いつ来ても味わい深いわ。。。)


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