結婚後の姓。フィンランド人ダンナが「カト」になった理由  

2014年1月4日



私の名前はカト。
漢字で書くと、「加藤」。
既婚者だが、旧姓ではない。いまもオフィシャルに現役ばりばり。

ちなみに夫婦別姓でもない。
結婚した時、ダンナが「カト」になったからだ。

日本に住んでるならまだわかるが、なぜフィンランドに住んでいるのにフィンランド人のダンナのほうが日本の苗字を名乗っているのか?!

この件に関して、ことあるごとに雨あられのように質問をあびせかけられているので、今日はその理由や背景などについて、ここにちゃんと書いておこうと思う。今度質問してきた人には「詳しくは、WEBで!」とか言いつつこの記事のURLを配らせていただくのでよろしくお願いします。




フィンランドでは、結婚した後どんな苗字にするか、3つ選択肢がある。

①ふたりとも、苗字を変えない(夫婦別姓)
②どちらかが相手の苗字を名乗る(夫婦同姓)
③自分の苗字と相手の苗字をハイフンでつなげて1つの名前として名乗る

③は日本ではあまりなじみのないパターンなので、どんなのかイメージしにくいと思うので例をあげてみる。たとえば、加藤ユーコ(Yuko Kato)さんが田中(Tanaka)さんと結婚した場合、

Yuko Kato-Tanaka

というふうになる。
結婚する相手の苗字がハイフンの後で、自分のもともとの苗字は前につけている人しか知らないが、そうしなくてはいけない決まりがあるのかどうかはちょっとわからない。
また、夫婦それぞれ二人ともが相手の名前をくっつけて、「Tanaka-Kato」さんと「Kato-Tanaka」さんの夫婦となるのも聞いたことがない。ただ、そうしてはいけない決まりなのかどうかはちょっとわからない。

この場合、子供ができたらどっちの苗字をつけるの?という疑問が浮かんでくると思うが、子供につけられる苗字は、ひとつだけだ。ハイフンでつながった苗字は子供にはつけられない。だから、成長して結婚したくなったTanaka-Kato青年が、たまたまこちらもハイフンつながりの苗字をもつKato-Tanaka嬢と結婚して、

Kato-Tanaka-Tanaka-Kato

になってしまう、という事態は発生しえない。



日本人がフィンランド人と結婚した場合、フィンランド国内であればフィンランド人と同じように、①~③の選択肢が与えられる。なので、③のようなハイフンつながりの名前でもオフィシャルに名乗ることもできる。

しかし、日本国はハイフンつながりの苗字を認めていない。
(少なくとも私が法務局に問い合わせした時はそういう回答だった)
したがって③にした場合、日本でオフィシャルにはどう届け出るかが問題になる。

外国人と結婚したら自動的に自分の国籍が相手の国の国籍になるわけではない。帰化しない限り日本人としてのステータスは維持され、戸籍も日本にあるし、パスポートもJAPANのままだ。
日本のパスポートを更新しつづけなくてはいけない以上、日本の役所が認めている苗字でなくてはならないのだ。

私のまわりに③パターンの国際結婚夫婦がいないのでネットでチラチラ見た情報だけだけれど、国際結婚して外国で③のように名乗っている人は、日本の戸籍上は旧姓のままにしているか、相手の苗字だけにしているいるようだ。
ただ、パスポートは戸籍よりもうちょっと融通がきいて、別名併記といってハイフンでつなぐかわりにカッコ()で二つ目の苗字を記してもらうことができる。

Yuko Kato-Tanakaさんの場合、
Yuko Kato(Tanaka)となる。



というわけで前置きが長くなってしまったけれど、結婚した後の苗字について、私に与えられた選択肢、ダンナに与えられた選択肢は、1.私の姓で統一、2.ダンナの姓で統一、3.私そのまま&ダンナは「旧姓-カト」、4.ダンナそのまま&私は「カト-ダンナ旧姓」、5.それぞれ旧姓のまま(別姓)という、5通りあった。
そして結局、1の「カト」で同姓にした。

なぜか?

それは、ダンナ本人がそうしたい!と言い張ったからだ。

フィンランド人と結婚してフィンランドに住んでるのに、ダンナのほうが日本名を名乗ってるというと、

「よっぽど旧姓にこだわりのあった奥さんにちがいないわ。。」

「奥さん、どっかの名家のひとりっ子で、どうしても名前残したいとか婿に入ってもらわないと困るとかご実家がごねたのかしら」
とか思われがちだけれど、

決してそうではないのだ。

うちの実家はただの零細自営業で弟もいるのだ!
ほんと、ここんとこ、ワタシの名誉のために言わせていただきたいのだけど、私が強制したわけではないんですよ!私自身はほんとにどれでもよかったのですよ!私の強い主張でこうなったとかじゃなく、どっちかというと周りに流されてぼーっとしてるうちにこういうことになってたんですよ!




そもそもなんでダンナは「カト」を名乗ろうと思ったのか。本人によると、

●結婚して家族になるのだから、2人とも同じ苗字がいい(上記③のハイフン苗字はイヤらしい)

●私が名前を変えるより、ダンナが名前を変えたほうが苗字変更に伴う届け出・変更(パスポートやら免許やら、銀行やらカードやら)がフィンランド国内で完結できるのでずっとラクだから、私はそのまま、ダンナが苗字変えるというのがベストだと思う

●私に仕事を辞めさせアパートも家具も引き払わせ、車も売らせて、日本の家族や友達やネコから引き離してフィンランドに引っ越させた上に名前まで変えろとは、申し訳なさすぎてお願いすらできない。

●自分のもともとのフィンランドの苗字がものすごく変わっていて、しょっちゅう間違われる(発音・スペル)ので、ここらでおさらばしたい。
 ↑
これはほんとにそうで、日本の名前なのに、私の名前「カト」のほうがよっぽど間違われない。
ダンナは旧姓時代、病院やら警察署やら市役所やらで順番待ちをしていて、「ナントカさぁ~ん」などと呼ばれるとき、3回に1回くらいの割合で間違って発音されていた。何かを予約したりするときも、名前を言ったらたいてい「??」になるので、スペルをいちいちアルファベットで復唱したりしていたくらいなのだ。




ともかく、以上のような「カトにしたいんです!」というダンナの熱烈意見を否定するほど私は他の選択肢にこだわりがあったわけではなかった。

というわけで、まあ、くるしゅうない、カトになりなさい、と返答したわけだ。




しかし!
ベストチョイスに思える「カト姓」には、フィンランド語特有の問題があったのだ。

それは、「Kato」というのが、フィンランド語のスラングで「見て(命令形)」という意味だということ。
「あ!!なにあれ、見て見て!」の「見て」だ。

フィンランド語で「見て(命令形)」は正しくは「Katso(カッツォ)」というのだけれど、けっこうな割合で、特にオウル地方では90%以上の割合で(←自分しらべ)「Katso(カッツォ)」といわずに「Kato(カト)」という。

「カトカト!カト!」そう、私は年がら年中、どこにいっても、知らない人にも呼びかけられてるようなもんなのだ。はじめてフィンランドに来たころは慣れなくて、どっかから「カト」と聞こえるたびにびっくりして振り返っていたものだった。でももう慣れた。だから私はいい。

しかし、ダンナよ、自分もそういう目にあうのだよ、知ってるかい?
まあ、アンタは好きでそうするからいいかもしれないけど、もし子供ができて学校行くようになったら、ぜったい苗字でからかわれるよ、いいの?

この問い詰めに対して、ダンナは言った。
「うちの子はそんなイジメに負けないように育てるから大丈夫」
そうですか。。。

そして続けて言った。
「僕のフィンランド語の名前がAhonen(アホネン)とか、Paajanen(パーヤネン)とか、Ahokainen(アホカイネン)だったらふたりでそれにして、日本に行った時に絶対ウケたのにさ、残念であった。まあ、フィンランドでカトっていうので我慢しよう」

さいですか。。。

ともかくこうして、おそらくフィンランドで初の「カト姓になったフィンランド人」が誕生したのであった。



男女平等のイメージが強いフィンランド。実際、イメージだけでなく、日本と比べれば色んな面で男女平等が進んでいると思う。

それでも、結婚して男性のほうが女性の方の姓を名乗るケースは、そんなにない。ないわけではないけれど、少ないと思う。私の周りでダンナのほうがヨメの姓をなのっているのは、2人しか知らない(そのうち1人はこないだ離婚したから、現役でヨメ姓を名乗ってるのは、1人だけ)

ダンナのほうが「カト」になったよと言うと、フィンランド人女性の反応は

「えー!そうなんだ、おもいきったねダンナさん!えらい!」

など、全面的に「いいね」レスポンスだ。
なんだかんだいいつつも結婚したら女の人のほうが苗字を変えるのがふつうのように思う男性が多い中、おたくのダンナさんえらいリベラルで理解あっていいわねえ、というかんじ。もっとそういう男の人が増えたらいいのに、くらいに言う人もいる。(こんなときはたいていみんな男女平等論でもりあがってるので、カトになった理由が「旧姓のフィンランド姓が気に入らなかったから」だとか「私のパスポート再発行がめんどくさかったから」なんて、口がさけても言えない)

こんな風にいろんなフィンランド人に言われるまで、フィンランドでは男女平等が進んでいるんだから、ダンナがヨメの姓名乗ったって、別に珍しいことでもないんだろうと思っていた。けれど、あと10年、20年くらいしたら、珍しくもなんともなくなっているかもしれない。

そうなったら、私らはちょっとしたパイオニア的存在かも。。。?いや、パイオニアにはなれなくても、こんな人がいますよ、という先例くらいにはなれるかも。あと、今後フィンランド人と結婚してダンナに自分の姓を名乗らせたいという人がダンナさんや家族の説得に挑む場合のプレゼン資料統計サンプルくらいにはなれるかもしれない。

ということで、苗字の話はこれで、おしまい。

それでは、また!


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