はじめに。 オウルとわたし

2013年12月18日

わたしがフィンランドという国を意識しはじめたのは、16歳のときだった。1996年。けっこう昔だ。きっかけは、ムーミンでもサンタでもなく、北海道のちいさな町の交換留学生募集の広告だった。

当時の私は世の中のいろんなことに不満な高校2年生だった。
校則やら受験やらの大義名分をふりまわした先生たちに、アアしろこうしろとひっきりなしに「指導」される学校生活が、特にきらいだった。もっと自分で考えたかった。

どこか遠くに行きたい。
できるだけ知らない世界に行って、いろんな人生の選択肢をみて、自分がどんな大人になるか考えたい。そう思っていた。

別に行先はどこでもよく、でもできるだけ日本人がいないところ、英語の国じゃないほうがなおよし(受験の役に立ったらこまるから)とおもっていたので、広告をみて「フィンランド?オウル?いいじゃん!」。すぐ窓口に電話した。

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1996年、8月。はじめて降り立ったオウル空港。いまでこそフィンランドで2番目だかに大きい空港らしいけれど、当時は出発ゲートも到着ゲートもワンフロアにおさまっていて、くるりとその場で一回転すれば端から端までみわたせるくらいの小さな空港だった。




オウルという街自体も、当時はいまほど大きな町ではなかった。オシャレなカフェは一軒もなかったし、レストランといえばピザ屋ばかりだった。街をあるいても、外国人と外見で一目でわかるような人はほとんど見かけなかった。

最初に私が希望した「なるべく日本人がいないところ」に行きたいというのは、こうして実現した。
最初の半年間はもう1人日本からの留学生がいたのだけれど、彼女を除けば1年間、ほんとうに一度も日本人に遭遇しなかった。もっとひろげてアジア人というくくりにしても、中華料理屋の店員さん以外、遭遇しなかった。

逆にいうと、私が当時出会ったほとんどのフィンランド人にとって、私が人生ではじめての日本人、アジア人だった。おとなもこどもも、はじめて会う人はみんな私の黒い目、黒い髪、顔かたちにくぎ付けだった。どこに行っても、すれちがう人にいちいち2度見されたものだった。




たった一人の日本人ということは、たった一人で日本を代表するということでもあった。

歴史の授業で「フィンランドではこのときこうだったけど、そのころ日本では何が起きてたの?」
友達の親が離婚したときは「日本の離婚率はどのくらいなの?」
英語での会話中「日本人は英語があんまり得意じゃないというけど、学校ではどういう風に教えててどこが問題なの?」
「日本はロシアのことどう思ってるの?」「なんで日本ではマンガが人気あるの?」「なんで日本ではお酒は20歳からなの?」「どうしてお箸をつかうの?どっちが切るほうでどっちが刺す方?」

クラスメイトも先生も、近所のおじさんもおばさんも、友達のお父さんお母さん兄弟、いろんな人にいろんなことを16歳の私に質問した。もっと勉強しておけばよかったと思った。
私が何かすれば「日本人はこういうことするのか」と解釈されがちだった。高校生なりに、もっとしっかりしようと思った。

私のはじめてのフィンランドの日々は、「フィンランドで日本について考える」日々だった。




フィンランドから帰ってきた後、こんどは自ら進んで受験勉強し、東京の大学に進学した。

歩くサブカル百科事典みたいな先輩、ベンチャー企業をめざしていつもアイディアノートになにやら呪文をかきこんでいた友達、休学して夜勤バイトでためたお金で世界一周に旅立っていったアフロな友達、歌舞伎町の風俗店変遷研究をしていた先生に朝4時のマックで紹介されたホームレスのおばさん、酒のんで血はいて救急車ではこばれていった友達、青汁片手に「なんとかなんの!」と緊急事態をばりばり音たてて突き進んでいたインターン先の恩人、なんかオモシロいことない?がくちぐせだった喫茶店のだべり仲間たち。。。

いろんな人生が私のまわりにあった。
あんな人もいるんだ、こんな展開もアリなのかと、おどろいたり笑ったり激情したり私は忙しかった。
大学卒業後に進学したイギリスの大学院でもそうだったし、そのあと就職した知床でもそうだった。

そして、私の2度目のフィンランド暮らしでもそう。
特に無邪気な高校生や中学生だったころから知っている友達たちの場合、彼らの人生の半分くらいのあらすじをすでに知っているので、さらに味わい深い。


こんな人生もあるんだという発見、感動、激情、自分のまわりにあるちいさな発見、おおきな発見、成長、失敗。私の周りにあるこういうひとつづつの記録を、いつか書きつづってみたいと思っていた。




そんなわけで、フィンランドへの引っ越しなどいろんなことが一段落した今、ようやく長年かんがえていた「書きつづり」をブログという形ではじめることにした。

昔住んでいたとはいえ、ひさびさのフィンランド生活は新鮮なオドロキや発見がたくさんある。そんなことも書いていけたらと思う。
そのうち、海外移住や留学、国際結婚のはなしなど誰かの役にたちそうな私の体験談、めったに日本のガイドブックには登場しないフィンランド観光の穴場中の穴場と思われるオウルという町についても書いていけたらいいなと思っている。
あんまり期待しないで待っていて下さい。


・私自身については、こちらでもう少し詳しく書きました。
・オウルってどこ?というご質問への回答はここにご用意しました。


それでは、また!



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